『パラッパラッパー』誕生秘話満載! 松浦雅也&吉田修平スペシャル対談・完全版を独占公開!

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『パラッパラッパー』誕生秘話満載! 松浦雅也&吉田修平スペシャル対談・完全版を独占公開!

誕生から約20年──「パラッパ」シリーズの生みの親が当時を、PS4®版を語る!

1996年に初代PlayStation®でリリースした『パラッパラッパー』(以下『パラッパ』)。あのポップでキュートでノリノリなリズムアクションゲームが、4月20日(木)、PlayStation®4へ帰ってくる!

PS4®版の発売を記念して、「パラッパラッパー」シリーズの生みの親である松浦雅也氏と、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE) ワールドワイド・スタジオ プレジデント 吉田修平とのスペシャル対談が実現!

初代PlayStation®版『パラッパ』は1996年12月6日発売だが、実は吉田がプロデューサーを務めた『クラッシュ・バンディクー』も同日発売。いずれも大ヒットとなり、その後パラッパとクラッシュはPlayStation®を代表するキャラクターへと成長した。そんな2人の対談とあって、話は広がり動画に収まりきらないボリュームに。今回の記事では、対談の完全版をお届けしよう!

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ミュージシャンからゲームクリエイターに活動の幅を拡げた、意外な理由とは?

吉田:松浦さんとは何度もお会いしていますが、「そう言えばこれを聞いたことがなかったな」ということがあるんです。松浦さんは『パラッパ』を制作する以前、PSY・S(サイズ)というユニットで活躍されていましたよね。しかも、アルバムもシングルもたくさんリリースしていたメジャーなアーティストでした。それがなぜゲームクリエイターとしても活動するようになったのでしょうか。

松浦:『パラッパ』を作り終えた後、自分でもその問題を振り返る機会が何度かありました。私は当時CBSソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)に所属していましたが、自分が携わってきた音楽がどのようなプラットフォームで供給されてきたかひとつずつカウントしてみたことがあるんです。アナログレコード、カセット、CD、ビデオディスク……。数え上げると、約30ものプラットフォームがありました。その中でも、1990年代に存在感を増してきたのがインタラクティブな領域でした。

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吉田:当時はマルチメディアという言葉がはやっていて、CD-ROMのインタラクティブソフトも発売されていましたよね。

松浦:そうです。インタラクティブな領域に注目が集まっている時代でした。

そして、もうひとつ伏線があります。これを話すと、みなさんをがっかりさせてしまいそうですが(笑)。というのも、私たちがデビューした1980年代は、音楽業界にとって大きな変革があった時期。MTV(音楽のビデオクリップを放送する番組)が盛り上がりはじめたころなんです。音楽を聴くだけでなく、映像として楽しむ時代になりつつあったんですね。ところが、それに向いているミュージシャンと向いていないミュージシャンがいて……。

吉田:え、私の中では、PSY・Sはおしゃれなイメージでしたが。今でもビジュアルがパンと思い浮かびます。

松浦:当時のレコード会社の方がとても苦労されて、いろいろなアイデアを練ってくださったからだと思います(笑)。私自身は、自分という存在が映像に出ることにしっくりきていませんでした。自分の作った作品を聴いてもらったり、観てもらったりするのは楽しいのですが、自分自身が映像に出演することには違和感を覚えていたんです。

音楽もコンピュータで作っていましたから、僕が音楽を作り、他の人がCGを作るというコラボレーションのほうが面白い。そんな流れのまま90年代に突入したので、マルチメディアやインタラクティブという新しいテーマが出てきた時に「これだ!」と思ったんです。「これで自分がビデオクリップに出演するのを逃れられる」、と(笑)。

吉田:そんな理由があったんですね(笑)。

『パラッパラッパー』はゲーム
ユーザーの声に背中を押され、ゲーム業界へ

吉田:『パラッパ』の制作が始まったのはいつごろでしょう。

松浦:1994年ごろでしょうか。PlayStation®の発売後のことです。

吉田:当時はミュージシャンであり、ゲームディベロッパーではありませんでしたよね。

松浦:そこが重要なんです。『パラッパ』が完成してプロモーションをする段階になり、このソフトをどのようにアピールするかとソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE。以下SCE)のスタッフの方々とディスカッションしました。当時は多くのスタッフが「これはゲームではない」とおっしゃっていたのを覚えています。僕としても、これがゲームなのかどうか曖昧で、自分でもよくわかっていませんでした。

吉田:当時としてはどのジャンルにあてはまらない、全く新しいものでしたからね。でも、松浦さん本人もゲームかどうか曖昧だったとは。

松浦:私自身、これほど長い間『パラッパ』が受け入れられるとは思ってもみませんでした。

吉田:『パラッパ』を機に、ゲームの世界でも”音楽ゲーム”というジャンルが重要な位置を占めるようになりました。それほどのパワーがありましたし、その後音楽ゲームのヒットが続いたのも『パラッパ』が他のクリエイターを刺激したからだと思います。でも、当初は周りのスタッフもどう扱っていいのかわからないソフトだったんですね。

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松浦:製造枚数も少なく、そのまま終わってしまうのかなと思っていました。

吉田:発売されるまでは、そういうお気持ちだったんですね。

松浦:「発売まで」ではありません。発売後、半年ほど経ってもそうでした。

吉田:最終的には、日本国内だけでも大ヒット作になりましたよね。

松浦:最初にプレスされたのは、確か数万枚。全部売り切れるまでにどれぐらいの期間がかかるかと、当時のスタッフと話した記憶があります。

吉田:私は同じ日に発売された『クラッシュ・バンディクー』のプロデューサーでしたが、『パラッパ』チームはプロモーション担当も営業担当も強い熱意があり、その情熱、一体感をうらやましく思っていました。

松浦:そうでしたか。でも、その後もヒットしたという感覚は全くなくて。初回出荷分が売れたあとも、少しずつしか売れていませんでしたから。

吉田:なるほど。ドカンと売れたわけではなかったんですね。

松浦:そうです。毎週数千枚ぐらいずつ売れていきました。半年経ったころには数十万枚ほど売れていたかもしれませんが、実感がありませんでした。他にミリオンセラータイトルがたくさんありましたから、それらに比べると地味だなと思っていました。

吉田:そんなふうに思われていたんですか! 意外です。

松浦:実感が出てきたのは、そのあとです。いちばん驚いたのは、実際にユーザーのみなさんが「『パラッパ』はゲーム」とはっきり認識してくださったこと。それが結果的に、僕がゲーム業界へ来るきっかけとなりました。

吉田:『パラッパ』発売後に、「ゲームを作るのは面白いな」と思ったんですね。松浦さんはPSY・Sを1996年に解散しています。自分の退路を断つような気持ちだったのでしょうか。

松浦:その通りです。ユーザーのみなさんが『パラッパ』をゲームとして受け入れてくれるのであれば、ゲーム作りを仕事と言ってもいいだろう、と思いました。あくまでもお客さんが「これはゲームだ」と言ってくださったことが、僕がゲーム業界の人間になることにつながりました。

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エビになっていた可能性も!? パラッパくん誕生秘話

吉田:パラッパくんは、PlayStation®を代表するキャラクターとして全世界で受け入れられました。リズムゲームを世に広めた元祖でもある一方、キャラクターも広く愛されています。どちらを先に作られたのでしょう。

松浦:音楽ゲームのほうが先です。

吉田:今ではプロトタイプを作るのもそこまで大変ではありませんが、当時はどのように作られたのでしょう。

松浦:ロドニーさん(ロドニー・グリーンブラット氏。世界的に有名なイラストレーター)のデザインを使うことは決まっていました。僕らは僕らで、ロドニーさんはロドニーさんでPlayStation®で何かを作りたいと思っていたため、SCEのプロデューサーが一緒に作ったらどうかと提案してくれたんです。そこからPlayStation®の環境を勉強して、一から作りました。

吉田:制作期間は?

松浦:2年半ぐらいでしょうか。

吉田:ゲーム性は最初から決まっていましたか? ラップを使うことも決めていたのでしょうか。

松浦:ラップを使うこと自体は決めていました。80年代からサンプリングの技術はありましたが、サンプリングしていちばん面白いのが人間の声。声を使った音楽ゲームを作りたいという思いがありました。

吉田:パラッパくんというキャラクターは、どのようにして生まれたのでしょう。

松浦:ロドニーさんにゲームの内容を説明して、「ラップのキャラクターを描いてください」とお願いしました。たくさんのバリエーションが上がってきましたね。

吉田:「犬にしてほしい」というオーダーではなかったんですね。

松浦:犬のデザイン案は、途中から出てきたような気がします。最初はラップをするエビという案もありました(笑)。たくさんのバリエーションがある中に犬もいて、「これがいいんじゃないか」と決まっていきました。

吉田:「こういう設定でお願いします」ではなく、「ラップをするキャラクターをいろいろなバリエーションで作ってください」というオーダーだったんですね。

松浦:そうです。ロドニーさんはすでにキャラクターをたくさんお持ちだったので、そのキャラクターもお借りしました。サニーちゃん、ケイティ、P.Jがそうですね。でも、新しいゲームに必要な主人公がいなかったので、そのキャラクターを作っていただくところからスタートしました。

吉田:タマネギ先生など、ユニークなキャラがたくさん登場しています。

松浦:タマネギ先生など、各ステージの先生は全員新しいキャラクターです。パラッパができてから生まれたキャラです。

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吉田:曲はすべて松浦さんが作られたのでしょうか。

松浦:DJ系の作曲をする方々がいて、手伝ってもらいました。実は、最初に作った曲はすべて既存曲のサンプリングだったんです。そのままゲームに使用できないかと思いましたが、許諾の関係上難しくて。そこで、イメージは変えずにオリジナル曲に置き換えていきました。

吉田:各ステージのストーリーがつながっていますが、そういうゲームにならない可能性もあったのでしょうか。

松浦:ストーリーが必要だという意見は早くからありました。でも、アイデアを話し合う中では、決まりごとはあまりなくて。すべてのことをフレキシブルに話し合い、すごく自由でした。

吉田:パラッパくんのセリフ「I Gotta Believe!!」(僕ならできるさ)は、どのようにして生まれたのでしょう。

松浦:制作チームの中に、ラップの歌詞を考える方がいました。彼の決めゼリフが「I Gotta Believe!!」だったんです。ディスカッションをしている時、「自分が使い慣れているあのフレーズがパラッパくんに合うような気がする」と言ったので、そのまま使いました。彼は発売後のインタビューで、「『I Gotta Believe!!』はパラッパくんにあげました」と話していました(笑)。

「表現や音楽は自由なもの」 ゲームを通じて伝えたいメッセージ

吉田:『パラッパ』の発売後、いろいろな音楽ゲームが登場しました。それらに対して、松浦さんはどのように見ていたのでしょうか。

松浦:基本的には歓迎していましたが、若干気になるポイントもありました。それは、表現や音楽は自由なものだ、という視点が軽んじられている・抜けているように感じられることでした。表現の自由さが、やりがいにもつながると思っています。

吉田:なるほど。ゲームのルールを学び、その通りにプレイすれば点数が高くなるというだけでは物足りないということですね。

松浦:その通りです。特に音楽は、表現の自由さが重要です。『パラッパ』以降の音楽ゲームは、”100点満点のあるゲーム”が多くなったことが少し残念ではありました。

吉田:プレイヤーが自分を表現できるような音楽ゲームに登場してほしかった、と。

松浦:少なくとも、それが音楽や表現を楽しむことなんだというメッセージが伝わるようなものであってほしいですね。ゲームシステム自体は、100点満点を取るものでもいいのですが。

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20年以上経った今でも、色褪せない『パラッパ』の魅力

吉田:『パラッパ』を制作した時、本当にやりたかったけれどできなかったことはありましたか?

松浦:正直、今でもよくわからないんです。『パラッパ』は、今プレイしても「こんなことをやっていたんだ!」と新しい発見があるゲームです。それは、イマジネーションや表現は自由なんだというメッセージを『パラッパ』の中に込めようとした結果なのかもしれません。『パラッパ』でやり残したことがあるかどうかと問われれば、多分あります。でも、僕は『パラッパ』を一番よく知っている人間ですが、とは言え、そのすべてがわかっている、というわけではないんです。

吉田:『パラッパ』はヒットしましたから、普通なら続編を作るでしょう。でも、松浦さんはそうではなく、『ウンジャマラミー』を作りました。もちろん両者には共通点がありますが、『ウンジャマラミー』ではアナログスティックでギターを弾くという新しいチャレンジをしています。『パラッパ』は完成したものですから、新しいことに挑戦したかったのでしょうか。

松浦:同じものを引き継ぐという発想がなかったのだと思います。最近の映画などによくありますが、最初から続編を見越して作ろうという考えは一切ありませんでした。そういう意味では、『パラッパ』ですべてやりきったのかもしれませんね。

吉田:パラッパくんとそのファミリーは長く愛されていますよね。なぜこれほど長い間慕われているのでしょう。

松浦:自分でもよくわからない部分があります。でも、自分たちが慣れ親しんでいるボーダーを越えたところで、コミュニケーションをしながら作りあげたものだからかなと思います。

吉田:今PS4®版をプレイしても、新鮮な楽しさを味わうことができます。松浦さんがPS4®版をご覧になった感想は、いかがでしたか?

松浦:きれいすぎてびっくりしました(笑)。

吉田:『パラッパ』のデザイン、世界観は今見ても全く色あせず、鮮度が高いですよね。それはアートディレクションやキャラクターデザインの強さがあったからでしょうか。

松浦:そうだと思います。

吉田:コンピュータはどんどん進化しますから、昔大好きだったゲームを数十年後に見ると「こんな映像だったっけ」とショックを受けることがあります。でもPS4®版『パラッパ』は、PlayStation®で最初に見たインパクトのまま。頭の中に残っているパラッパの世界が、そのままPS4®で今に蘇ったような気がしました。それを当時生まれていなかった方々にも遊んでいただけるのは、すごくうれしいことです。偶然だと思いますが、今年は『クラッシュ・バンディクー』のリメイク版も発売される予定です。PS4®で『パラッパ』『クラッシュ』両方を、たくさんのユーザーの方々に楽しんでいただきたいです。

松浦:そうですね。そうだとありがたいですね。

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目指したのは、プレイした人が全員笑顔になるようなゲーム

吉田:『パラッパ』を作っている時、プレイヤーにどういう気持ちになってほしい、どう楽しんでほしいと思っていましたか?

松浦:CDやレコードなどで音楽を聴いて、勇気づけられたり、悲しい気持ちになったりすることはあると思います。でも、笑ってしまったり、すごく楽しい気持ちになったりする音楽って、コメディソングぐらいであまりありません。喜怒哀楽の感情を強調する表現の中でも、明るく楽しく笑えるような気持ちになるものは、なぜか表現の世界では軽んじられています。これは根の深い問題だなといつも思っていて。ですから『パラッパ』を作る時には、「プレイした人が全員笑顔になるようなものにしたい」と思っていました。それは、多くのスタッフに共通した意識でした。

吉田:クリエイティブの中で何か判断する時にも、”遊んだ人が楽しい気持ちになるか”が大きな判断基準となったんですね。

松浦:そうですね。

吉田:ユーザーさんがイベントなどでプレイされている場面をご覧になったり、アンケートハガキをご覧になったりしたと思いますが、それは期待していた通りでしたか?

松浦:いえ、期待以上でした。『パラッパ』の冗談や笑いのセンスは日本人にはそこそこ理解されるかなと思いましたが、海を越えて世界の人たちにこんなに伝わるとは思っていませんでした。

吉田:今年PS4®版が新たに発売され、過去の『パラッパ』を遊んだことのない方もたくさんプレイすると思います。時代が変わった今、プレイヤーはどのように『パラッパ』を受け入れると思いますか?

松浦:そこは未知数です(笑)。

吉田:今のゲームプレイヤーは、自分で遊ぶだけでなくYouTubeなどでライブストリームをしたり、それを観た人が一緒に楽しんだりしています。発売後、プレイヤーが『パラッパ』を使ってどのような映像を配信するか楽しみですね。

松浦:それは楽しみです。

吉田:松浦さんが希望されていた、100点を出すのではなくてパラッパを使って自分を表現するような動画が出てくると楽しいと思います。

松浦:そうなったらうれしいですね。『パラッパ』にはCOOLモードがあり、お手本を再現するだけでなく自分で自由にプレイすることができます。実は、COOLモードで高い点数を出すにはある制限を守らなければなりません。これまでにも『パラッパ』のゲーム映像はYouTubeに上がっていましたが、例えばボタンを押す回数を最も少なくしつつ、最も高得点を出すプレイはまだ見たことがないんです。

吉田:ゲームの秘孔を突くようなプレイですか?

松浦:そうです。そういったチャレンジはちょっと見てみたいですね。どうしても連打してしまうのですが、そういうゲームではないので。

吉田:音楽家の気持ちで、「自分の作品を作るとしたらここでボタンを押す」という気持ちになれば、それが成功するかもしれませんね。

松浦:そういう楽しみ方はあると思います。ぜひ見てみたいです。


撮影の合間も、ARやMR(複合現実)などの最新テクノロジーの話題に花を咲かせていた2人。かつて『パラッパラッパー』『クラッシュ・バンディクー』という大ヒット作を生み出した両雄だが、その視線は過去ではなく未来へ向かっていることが感じられた。

インタビュー後は、PS4®版『パラッパラッパー』を交互にプレイ。時につま先でリズムを取りながら、まるで子どものように夢中になって遊んでいた。

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パラッパラッパー

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・プラットフォーム:PlayStation®4
・ジャンル:リズムアクション
・発売日:2017年4月20日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 1,800円+税
    ダウンロード版 販売価格 1,944円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)

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PS4®『パラッパラッパー』公式サイトはこちら

©Sony Interactive Entertainment Inc. ©Rodney A.Greenblat/Interlink

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